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こんにちは。
最近、飲酒をしつつ、活字を読むのが好きな1983年生まれの主婦です。
(絶望ライン工さんと同じ!)
今回は、2018年の「虎狼の血」に次ぎ、3年越しに公開された「虎狼の血 LEBEL2」について。
前作との比較を中心に、見どころや感想を述べていきます。
どちらも公開時に映画館で鑑賞し、最近、2作続けて一気見しました。
特にLEBEL2、この一言に尽きます。
とんでもない作品を観た!
ストーリー展開、俳優陣の怪演、全てにおいて、とんでもない。
前作『虎狼の血』についての記事はこちら。
筆者についてはこちら。偏りのある人間ですが、趣味趣向が合えば嬉しい限り♪
自己紹介part1(経歴編)
自己紹介part2(内面編)
作品情報&ザックリあらすじ
作品情報
| タイトル | 虎狼の血 LEBEL2 |
| 監督 | 白石和彌 |
| 脚本 | 池上純哉 |
| 原作 | 柚月裕子 / 小説「虎狼の血」シリーズをベースとしたオリジナル脚本 |
| 音楽 | 安川午朗 |
| 撮影 | 加藤航平 |
| 製作国 | 日本 |
| 上映時間 | 139分 |
| 公開日 | 2021年8月20日 |
| 出演者 | 松坂桃李・鈴木亮平・村上虹郎・西野七瀬・音尾琢真・早乙女太一・渋川清彦・毎熊克哉・筧美和子・青柳翔・斎藤工・中村梅雀・滝藤憲一・矢島健一・三宅弘城・宮崎美子・寺島進・宇梶剛士・かたせ梨乃・中村獅童・吉田鋼太郎 |
| 配給 | 東映 |
| 前作 | 孤狼の血(2018年公開) |
あらすじ
広島の架空都市・呉原。
伝説の刑事・大上章吾の死から3年後、日岡秀一(松坂桃李)は警察と暴力団の間で危うい均衡を保ちながら、街の秩序を守っていた。
そんな中、前作ラストで尾谷組の若頭・一ノ瀬(江口洋介)により殺害された仁成会会長:五十子(いらこ)正平(石橋蓮司)に厚い忠義を持つ極道・上林成浩(鈴木亮平)が出所。
仁成会は、上林の受刑中にすっかり有様が変わっていた。
仇敵であるはずの尾谷組と杯を交わし、手打ちとした挙句、ビジネス一辺倒となった仁成会幹部に対し、上林は激昂する。
そして、12歳で両親を殺害した過去を持つ上林は、容赦無く幹部陣を一掃。
その後も尾谷組への復讐心を燃やしながら悪行の限りを尽くし、再び抗争の火種を撒き散らしていく。
暴力、裏切り、復讐が渦巻く中、日岡は「正義」と「狂気」の狭間で追い詰められていく。

本当の悪は誰なのか。
正義の顔をした「悪」と「狂気」に混乱。
第2作は完全オリジナルストーリー
原作小説は、これまで第1作「孤狼の血」、2作「凶犬の眼」、3作「暴虎の牙」が刊行されています。
しかし、映画の第2作は小説の2作目とは異なる完全オリジナルストーリーとなっています。

理由は、映画の第1作のラストを原作から大幅に変更したことにあるらしいよ。
「虎狼の血」小説版のラスト
原作小説では、暴力団と警察の癒着の実態をリアルに描き切り、最後まで「悪」と「正義」の境界が曖昧なままです。
日岡は大上から多くを学びますが、あくまで警察官としての立場を保ちながら、その「灰色の正義」を受け継ぐかどうかの葛藤を残して物語が終わるのです。
つまり原作のラストは、読者の心に「静かで重い余韻」を残す結末です。
「虎狼の血」映画版のラスト
一方、白石和彌監督の映画では、大上の死や日岡のその後がよりドラマチックに改変されています。
映画では、大上が命を落とす展開が明確に描かれ、日岡がその意志を継ぐように「狼」と化していく姿で1作目は幕を閉じます。
つまり、映画は日岡の覚醒(継承)を強調したエンタメ的な終わり方になっており、「LEVEL2」へと続く布石にもなっているのです。
カッコ良い!キャラクター別ポスターのキャッチフレーズ集
映画のポスターには複数の種類があります。
その中でも、魅力的なキャラが多数登場する映画の場合は各キャラクターごとにポスターが作られることも多いですよね。

『虎狼の血 LEBEL2』も、キャラクターポスターが作られているのですが、それがまあイカすこと!
キャラクターごとのポスターは映画自体のポスターと比較するとこんな特徴が。
- 登場人物一人一人に焦点を当てている
- 映画の魅力をよりシンプルに訴求している
- 主人公だけの視点ではなく、多面的な魅力を知ることができる
ということで、『虎狼の血 LEBEL2』のキャラクターポスター含むキャッチコピーをまとめました。
2〜9まではキャラクターポスターですが、誰のキャッチコピーか当ててみて☆
(答えはすぐ下)
- 映画のポスター「闘う ヤツしか 生きられない」
- 「秘めるのは、信念か狂気か。」
- 「目に宿すのは、楽園か地獄か。」
- 「追っているのは、夢か悪夢か。」
- 「受け継いだのは、正義か悪か。」
- 「残るのは、愛か憎しみか。」
- 「守るのは、己か義理か。」
- 「真相がもたらすのは、幸いか禍か。」
- 「頼れるのは、人か金か。」
- 映画全体のポスター
- 橘(斎藤工)
- 上林(鈴木亮平)
- チンタ(村上虹郎)
- 日岡(松坂桃李)
- 真緒(西野七瀬)
- 花田(早乙女太一)
- 高坂(中村獅童)
- 綿船(吉田鋼太郎)

たった一行なのに、お見事!
良いキャッチコピーって、美しいわ〜
星評価16項目(独断と偏見)
あくまで私の個人的見解です。
無限にある素晴らしい作品。
「何観ようか?」の助けになれば嬉しいです。
| 「虎狼の血 LEBEL2」(2021年) | |
| 人間ドラマをみたい | ★★★★☆ |
| とにかく泣きたい | ☆☆☆☆☆ |
| スリルを味わいたい | ★★★★★ |
| ハードボイルド | ★★★★★ |
| 刺激が欲しい | ★★★★★ |
| 怖がりたい | ★★★★★ |
| カタルシスはあるか | ★★★★★ |
| 心に問いかけてくる | ★★★☆☆ |
| 胸を締め付けられたい | ★★★☆☆ |
| 悲しみたい | ★★☆☆☆ |
| 笑いたい | ☆☆☆☆☆ |
| 感動したい | ★★☆☆☆ |
| ワクワクしたい | ☆☆☆☆☆ |
| 笑いたい | ☆☆☆☆☆ |
| 温かい気持ちになりたい | ☆☆☆☆☆ |
| 勝手にR指定(実際はR15+) ※我が子が何歳になったら見せられる作品か?と考えて | ◯制限なし ◯小学生以上 ◯R12+ ◯R16+ ●R18+ |

R18+の理由は、上林の悪事の残虐性が度を超えているから。
ちょっとオマセな内容くらいならまぁ良いけど(免疫つけるためにも)、上林の悪事は大人の私でも震えるレベルの描写なので。
映画『虎狼の血』と『虎狼の血 LEVEL2』徹底比較
『虎狼の血 LEVEL2』は、前作『虎狼の血』があってこそ成立する続編。
前作で描かれた暴力団と警察の極限の駆け引き、そして大上刑事(役所広司)の死が、物語の土台となっています。
LEVEL2では、その遺志を継いだ日岡が主役となり、正義と狂気の狭間で成長していく姿が描かれます。

つまり本作は、
前作の結末を受け継ぎ、日岡が「大上の遺志を継ぎ、成長していく物語」
であり、『虎狼の血』という前作の世界観と人物関係があってこそ、初めて深く理解できる作品です。
人間ドラマなら「虎狼の血」、エンタメ性なら「虎狼の血 LEBEL2」
柚月裕子原作の映画『虎狼の血』シリーズ。
続編『LEVEL2』では、新米刑事だった主人公・日岡(松坂桃李)の成長が描かれ、物語のトーンが大きく変化しています。
今回は2作の「違い」と「日岡の進化」をじっくり見ていきましょう。
前作との違い:暴力のリアリティから「権力の闇」へ
前作『虎狼の血』(2018)
舞台は、警察とヤクザが紙一重の関係で共存する昭和63年の広島。
新人刑事・日岡(松坂桃李)は、型破りなベテラン刑事・大上章吾(役所広司)とバディを組み、暴力団抗争の渦に巻き込まれます。

この作品はとにかく「大上という男のカリスマ性」が主軸。
野蛮で温かいその背中、惚れてまう。
昭和の臭いが立ち込めるハードボイルドな空気感と、ヤクザ映画としての迫力が魅力です。
前作「虎狼の血」は暴力も人情も、すべてを背負って「灰色の正義」のもと突き進む大上と、それに翻弄されながらも惹かれていく日岡の物語。
続編『虎狼の血 LEVEL2』(2021)
時代は平成へ。
前作から3年後、日岡は今や「広島署の顔」となり、裏社会を牛耳る存在に。
しかし、表向きの正義の裏で、日岡もまた「灰色の正義」のもと大上の跡を継ぐような存在になっていくのが本作の見どころ。

生真面目だった彼の第一声が
「わざわざ広島から出張ってもろうてご苦労じゃったがのぅ」
って!
別人やん(胸熱)
また、『LEVEL2』では暴力描写がより過激で生々しく、闇社会のリアリティが一段と増しています。
先の読めない展開のドキドキや、「裏切り者は誰だ?」的なエンタメ性は、「LEBEL2」の方が上回る!
まとめると・・
| タイトル | 虎狼の血 | 虎狼の血 LEBEL2 |
| 時代 | 昭和末期 | 平成初期 |
| 日岡の立場 | 新米刑事 | 警察内の実力者 |
| 主題 | 正義と悪の境界 | 権力と暴力の継承 |
| 物語の軸 | 師弟ドラマ(大上×日岡) | 正義と悪の闇(日岡×上林) |
| 空気感 | 任侠映画っぽい | サイコスリラーっぽい |

個人的には、前作の方が好きかも。(大上が魅力的すぎたから)
2作を通して一貫するテーマとしては、「日岡の葛藤と進化」でしょう。
つまり、愛憎たっぷりの人間ドラマということ。
見どころ※ネタバレあり
私の個人的な見どころは、以下の11個です。
- 冒頭の日岡が前作から激変
- ヘアスタイル、スーツの趣味など、全て別人のようで衝撃
- 前作ではリクルート感否めないスーツだったのに
- 開襟シャツがセクシー
- 通常は日岡の変化の過程を描きそうなところ、白石監督は「そのプロセスが見えると面白くない」と、LEBEL2では敢えて激変して振り切った日岡で物語を始めた
- 前作では使っていなかった、ゴリゴリの広島弁を巧みに操っている様子にシビれる
- 日岡と上林がお互いがお互いのこをと「外道が!」と思っている
- 悪の側は、悪なりの「正義」のもと行動しているという難しさが複雑
- 上林がとにかく怖い、怖すぎる
- 冒頭ピアノ教師への行いにより、上林のサイコ感が植え付けられてその後ずっと怖かった
- 「もみあげをバスッと切った角刈りパンチパーマ」により、恐怖2割り増し
- でも、昔世話になった定食屋に優しい一面もあり不安定すぎる情緒が切ない
- 悪すぎて狂気の沙汰だけど、幼少期の苦しみや強い忠誠心を思うとどうしても彼を憎みきれない
- 愛に飢えに飢えて、憎み狂うしかなかったモンスター
- 結局、警察上層部に利用されていたという悲しみ
- 白石監督は、2019年の「ひとよ」の時から上林役は鈴木亮平と思っていたとのこと
- 日岡がまだまだ大上のようになれていないという現実
- 上林の暴走というきっかけはあったにせよ、日岡が築いた警察とヤクザの均衡はあっけなく崩れ始めるという、日岡の無力感が切ない
- チンタ(村上虹郎)の悲しみ
- 終始、精神がグラグラした状態の演技がうま過ぎる
- 上林は、愛のため(具体的には母親や姉弟)のために命懸けでスパイをしていたチンタに嫉妬していたのでは
- 中村梅雀と宮崎美子
- この善良な夫婦が酷い目に遭うことないよね?!ってずっと不安だったのに。やられた!
- エス(スパイ)が瀬島(中村梅雀)と分かった時、驚きすぎて瞳孔開いた
- 日岡が調べた、夫婦の過去すら警察上層部の偽装だったのね、闇深すぎ
- 瀬島の奥さん(宮崎美子)の時折見せる翳りある表情は、「息子を亡くすという辛い過去を背負っている者の悲しみ」にしか見えなかったのが本当にすごい
- この夫婦のおかげでストーリー展開もしっかり神
- 「厄介なのは、正義面して悪さする奴等」という日岡に向けた瀬島のセリフ、警察上層部に向けての言葉かと思いきや、日岡へ向けられていたのでは。ゾクッ
- 結局瀬島の目的は?保身のためではなさそうだし、金か。
- ラストの上林×日岡の死闘
- 保身に狂った嵯峨(滝藤賢一)から拳銃を奪った時の手に汗握る感覚がすごい
- 上林×日岡は白石監督が見せたかった異形のバディ
- 監督がインタビューの中で「これはもうデート笑」と言っていたのが面白い
- 敵同士だけど、どこか愛憎を感じさせる(これは監督もはっきり狙っておられたとのこと)
- 森の中の狼の正体はいかに
- 大上?なわけはないけど、大上の魂が形を得たものか
- 虎狼は何処へ

主人公・日岡(松坂桃李)を中心に、チンタ(村上虹郎)、瀬島(中村梅雀)、上林(鈴木亮平)らとの関係性が次々と変化し、物語の中で様々なバディの形が浮かび上がるのも楽しかったです。
まとめ:「強烈なバディムービー」としても最高のエンタメ作品!

映画『虎狼の血 LEVEL2』は、清濁併せ呑んで正義を為す男たちの戦いを描いた、白石和彌監督による骨太なクライムサスペンス・バイオレンス作品!
前作で描かれた「組織の抗争」や「警察と暴力団の構図」から一歩踏み込み、本作では監督自身が語るように、「暴力がどこから生まれるのか」というテーマを掘り下げています。
単なる続編に留まらない、「強烈なバディムービー」としても最高。
みたことがない人は、ぜひぜひみて欲しい!
今ならAmazonプライム・ビデオで2作品を一気見できますよ。
さて、次は何観ようかな〜
ではまた。


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