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こんにちは。
1983年生まれ、トースター調理の一品を忘れ去り翌朝発見することがよくある、一般的な主婦、桃子です。
昨夜はピーマンを徹夜させてしまいました。

本日は、私が大好きなドラマ『白い巨塔』について。
昨日4度目の鑑賞を終え、
やっぱ面白い。
絶対同じ人いるはず!
その勢いで書いていきます。
私が思う、繰り返し見たくなる中毒性の理由は、
財前と里見の関係性が切なく美しいから
これです。
単なる医療ドラマではなく、これは人間の欲の物語。
結末を知っていても何度でも楽しめる、心理描写に優れた作品です。

主要登場人物は20人を超えますが、一人一人の心情が丁寧に描かれています。
そんな『白い巨塔』の魅力をなんとか言語化してみました。
筆者についてはこちら。偏りのある人間ですが、趣味趣向が合えば嬉しい限り♪
自己紹介part1(経歴編)
自己紹介part2(内面編)
作品情報&ざっくりあらすじ

2004年放送のドラマ『白い巨塔』は、山崎豊子の名作小説を原作にした、医療×社会派ヒューマンドラマ。
主演の唐沢寿明さんが演じる外科医・財前五郎と、江口洋介さん演じる内科医・里見脩二。
「出世と名誉」を追う男と、「患者と向き合うこと」を最優先する男が主人公です。
大学病院という巨大な塔の中で繰り広げられる、生き方が真っ向から対立している二人の男の生き様が最大の見どころ。
作品情報
| タイトル | 白い巨塔 |
| 原作 | 山崎豊子 |
| 脚本 | 井上由美子 |
| 演出 | 西谷弘・河野圭太・村上正典・岩田和行 |
| 監修 | 石川寛俊 |
| 出演者 | 唐沢寿明・江口洋介・黒木瞳・矢田亜希子・水野真紀・片岡孝太郎・西田尚美・佐々木蔵之介・中原丈雄・高畑淳子・若村麻由美・沢村一樹・及川光博・品川徹・伊武雅刀・片瀬りの・野川由美子・池内淳子・上川隆也・伊藤英明・石坂浩二・西田敏行 |
| プロデューサー | 高橋萬彦・川上一夫 |
| 制作 | フジテレビジョン 共同テレビジョン |
| 放送国・地域 | 日本 |
| 放送時期 曜日 時間 放送分 回数 | ・連続ドラマ 2003年10月9日から 2004年3月18日 毎週木曜日 22:00-22:54 54分 21回 ・特別版 2004年3月25日 21:00 – 23:24 144分 1回 |
あらすじ
『白い巨塔』は、山崎豊子の同盟小説4度目のドラマ化です。
2000年以降の連続ドラマでは珍しく、2クールに分けての放送で、全21回(第一部全10回、第二部全11回)。

最終回の翌週3月25日には特別版として、柳原弘のその後のエピソードを追加した総集編が放送されています。
第1部あらすじ(第1〜10話)2003年10月9日〜12月11日
「教授戦争」編:出世をめぐる戦い
物語の舞台は、浪速大学医学部附属病院。
第一外科のエース・財前五郎(唐沢寿明)は、手術の腕もカリスマ性も抜群だが、現状に満足はしていない。
彼の野望はただ一つ――
「教授の座」を手に入れること。
退官を控えた東教授の後任は、絶対に自分でなければいけないと、野心を燃やしている。
一方、友人であり対照的な存在の里見脩二(江口洋介)は、研究一筋で出世には無関心。
財前とは違い、あくまで「患者と向き合うこと」を第一に考える誠実な医師で、患者からの信頼も厚い。
教授選をめぐる陰謀劇
財前は、義父・財前又一の財力を武器に、教授選に向けて色々裏工作をする。
一方で東教授(石坂浩二)も、何かと鼻につく財前を後任にすることを防ぐため、対立候補として石川大学から菊川候補を呼び寄せる。
財前VS東教授の、裏取引や政治家との根回しが渦巻く中、病院はまさに「政治の縮図」のような状態に。
そして迎えた教授選。
裏での駆け引きと権力の操作の末――
財前五郎は念願の第一外科教授に就任!
だが、その勝利の影で「医学の本質を見失っていないか?」と里見が静かに問いかけます。
第1部は、財前の「栄光の頂点」で幕を閉じますが、同時にこの瞬間が「転落の始まり」でもあったのです。
第2部あらすじ(第11話〜最終回)2004年1月8日〜3月18日
「裁判」編:栄光から地獄へ
教授となった財前は、大学病院の権威として絶大な影響力を持ち始めます。
しかし、ある肺がん患者の手術をめぐり、運命の歯車が狂い始めるのです。
誤診が招いた悲劇
手術を担当した財前は、自身の診断を過信したことにより術前の検査でがんの転移を見逃します。
更に、術後の処置においても医局員や里見からの指摘や相談を無視し続け、結果的に患者を死なせてしまう。
遺族は「医療ミス」として訴訟を起こし、財前は被告の立場に。
裁判であらわになる「人間の本性」
財前は自らの名誉を守るため、証拠隠滅・証言操作まで行い徹底的に戦います。
かつての部下たちは、財前を恐れ保身のために沈黙。
そんな中正義を貫こうとする里見だけが、真実を語ろうと自身の立場を捨てて立ち上がる。
法廷でぶつかる二人――
友情と信念の最終対決が始まります。
運命の判決、そして「死」
裁判は財前の敗訴。
同時に、彼自身もがんに侵されていることが判明します。
初めて人間としての弱さや本音を見せる財前。
最期の瞬間、彼は
「二人で・・・二人で・・・里見・・・」と呟きながら息を引き取ります。
特別版(2004年3月25日)
財前亡き後の医局の様子が、柳原を中心に描かれています。
結果、財前の取り巻きだった佃や安西は大学病院を追われ、柳原と金井だけが残っています。
柳原は、辞職をすることを「逃げる」ことだと考え、裁判のことで集中砲火を受けることも覚悟して、大学病院に残りました。
そして、自身の行いへの償いや財前の死、患者と向き合い続けるという、やや希望のあるストーリーです。
また里見は、癌センターの内科部長のポストを断り、変わらず地方の病院で働いています。
しかし同時に、浪速大学とは関係良好となり、共同研究を進めています。
里見に宛てた財前の最後の手紙には以下の言葉がありました。
- 「これからの癌治療の飛躍は、手術以外の治療法の発展に懸かっている」
- 「僕は、君がその一翼を担える数少ない医師であると信じている」
- 「能力を持った者には、それを正しく行使する責務がある」
- 「君には癌治療の発展に挑んでもらいたい」
- 「遠くない未来に、癌による死がこの世からなくなることを信じている」
- 「ひいては、僕の屍を病理解剖ののち、君の研究材料の一石をして役立てて欲しい」
想像するに、里見はこの、財前の魂の言葉を受けた研究をしているのだと思われます。
※今現在、残念ながら特別版はどこでも観ることができません。
2004年にオンタイムで観た記憶と、調べた内容をまとめていますのでご了承ください。

この特別編において、「本編の良さが台無しになる内容だ」などと賛否あったようですが、個人的には「良かったなぁ」と希望を感じた記憶があります。
とはいえ20年以上前の記憶なので、確認したい。
再放送してくれないかな。
数年おきに観たくなる理由
実際に私は、2、3年おきに観ています。
その時点で、『白い巨塔』が超面白いということは間違いないのですが
ではなぜ超面白いのか?
それは
友情?人間愛?財前と里見の関係性が切なく美しいから
これに尽きます。
2004年版『白い巨塔』における財前と里見の関係は、この物語全体を貫く要素であり、最大の魅力なのです。

特に最終話の二人。
死の直前に本音で語り合えた二人が切なくて苦しくて、心に深い余韻を残します。
だから、何度でも観たくなるんですよね。
では、二人の関係性について具体的に解説!
財前と里見の異なる「医師の在り方」
財前五郎は、天才的な外科手術技の術を持つ野心家の外科医。
一方の里見脩二は、誠実で患者に寄り添う内科医。
二人とも医師としての腕は超一流で志も高い。
また学生時代からの友人でもあり、互いの力量を心の底では尊敬し合っています。
しかし、
- 財前は「出世と名誉」こそが医療を極めるために不可欠な要素だと信じ
- 里見は出世にこだわらず、「患者の命と人間性」を何より重視する医学の道を進む
同じ場所を目指しているのに、その考え方の違いで道を分かつ二人。
距離が広がっていくのが切ないけど、どうしようもないのです。
理解し合っているのに、交わらない
財前が教授の座を目指して突き進む姿を、里見は心配しながらも止められない。
里見の真っ直ぐで嘘偽りのない言葉が、財前に響いていない訳はないが、彼は「教授にならねば何も変えられない」と信じて疑わないのです。
お互いの正義がぶつかり合うたびに、二人の間には深い溝ができますが
それでも、
相手の実力と人間性を否定することは決してない
「理解し合っているのに、交わらない」この関係性こそ、最も苦しい点です。
終盤での「遅すぎた本音」
財前が末期の癌に侵され、死を目前にして初めて見せる弱さ。
そのとき側にいたのは、誰よりも彼を知る里見でした。
生涯で最も大切な瞬間に、ようやく本音で向き合えた二人。
だが、それはもう取り返しのつかない「終わりのとき」なのです。

せっかく「お前はかけがえのないぞ存在だ」とお互いの本音が言い合えたのに!
運命、残酷。
ワォーーーーン
遠吠えせずにはいられません。
21話はちょっとほんと・・無念すぎて苦しい
最終話、東教授が執刀する財前の手術中の様子から始まります。
東教授「播種(はしゅ)だ」
※播種:医学分野では、がん細胞が原発巣から体腔内などにこぼれ落ち、種が巻かれたように広がっていく転移のこと。ドラマ内でも説明がありますが、全身転移と同様助かる見込みはない状態。
がんセンターへの影響や、又一の意向もあり財前本人への告知は避けることに。
全員で無理やり病状を隠し続ける中、財前は自覚症状と周囲の反応の差に違和感を覚える。
里見だけは真実を告げてくれると信じて疑わない財前は、彼の元へ向かい、余命3ヶ月であることを知らされる。
里見「俺が君を助けたいんだ。俺が君の不安を受け止めたいんだ」
財前「不安はないよ」「ただーーー無念だ」
そうよね!!!泣
胸が締めつけられます、無理無理。
敵でも味方でもない、心の底から信頼し、共に歩みたかった同志里見との本音のやり取り。
友情という言葉では足りない、これはもう愛です。
『財前死す』というタイトルの最終話。
最終話だけ3回くらい見返し、これを書く前にまた観ました。
ラスト15分はちょっともう限界・・涙
財前と里見
意識が無く、うわ言のように筋が通らない発言を繰り返す財前、しっかり手を握り、寄り添う里見。
その中に出てきた言葉は、佐々木庸平・ワルシャワ・アウシュビッツ・メス・クーパー、そして何度も里見。
「決心してくれたのか、やっとがんセンターの内科部長を引き受けてくれるんだな」
「これで、僕のがんセンターも盤石だ」
「佐々木さん、あなたもがんセンターへ入院されたら、ベッドは空けますよ、センター長ですからね」
「僕しかいない、世界は、代わりの人間が・・」
「二人で・・・二人で・・・里見・・・」
文字だけでも無念すぎてちょっと泣けてきます。
最後の言葉が、「二人で、里見」って。
さらに最後の手紙も、里見宛て。
財前らしい理路整然とした、医学の発展を望む威厳ある内容。
それに反して、震える筆跡とおそらく涙で滲んだ文字。
ううー!
言語化むずかしい。ぜひ観て欲しい。
財前と東
ここまできたら、東教授はいっさい財前に対しマイナスな私情は無く、純粋に救いたいと思っている様子。
心苦しくも、「財前の病」により、「命を任せるほどに信頼できる腕を持つ医者」が東以外にいないと財前が思っていること明白となった。
それが、師弟としての長年の確執を完全に解くきっかけとなった。
最終的には、保身どうのこうのでなく財前の身を心から案じていた数少ない心ある人間の一人。
何度観ても、毎回注目させられる人物。
財前と又一
最終話で、財前の最後に里見と二人きりにさせる計らい、財前のことを分かっていたんだと思った。
財前にステージ4であることを知られないよう、無理に明るく振る舞うが、病室にて
又一「わしはな、嘘と尻餅だけはついたことありまへんのやで?笑」
財前「はい」
又一「はい。て!ツッコミどころやないかい」
のところだけは笑ってしまう。
「もう十分夢見させてもろうた」など財前にかける言葉で泣けてくる。
金が全ての人間かと思いきや、愛ある人間。
財前とケイコ
里見同様、財前が心を許していた人物。
財前は、心を許す相手とは共に歩めない運命なの?
「僕は間違っていたのか」
死の間際、ケイコを通して自分自身に問いかける財前の様子から、彼女が心の支えだったことが伺える。
ケイコはたぶん生涯、財前のことだけを愛すはず。
鵜飼ええ加減にせぇよ
基本的に、夫婦揃って常に張り倒したい。
特にラスト、財前の意識が無くなった時、落ち込む東教授に駆け寄ってきて、開口一番にがんセンターの話をした時は、「黙らっしゃい!」とゲンコツしたかった。
そんなだから、意識のない財前に
「誰だ君は?用はない、出て行きたまえ!」
と怒鳴られて呆然。
一生背負って改心しろ!
と思いきや、立ち去る時に一瞬見せたあの顔。
ビンタさせてくれー
でも、伊武雅刀さんがこれほどの憎らしさを発揮してくれたからこそ、物語が面白くなったということで、尊敬です。
個人的に思ったことを書き連ねてみた

思ったことを人物別に書き連ねました。
超個人的な見解ですが、共感したり反論したり、楽しんでもらえたら🎵
- 財前
- 誰よりも真っ直ぐ、貪欲で純粋
- がんセンター内科部長に何度も誘い続けるほど、里見のことが好きすぎる
- 患者一人一人に寄り添うなんて意味がない、とばかりに横柄なところ、注意したい
- 総回診に集まる医局員の急ぎ方が異常
- 里見と二人で歩めばお互い補い合える最強タッグだったのに涙
- 裁判での毅然とした態度、冷徹と言わざるを得ない
- 里見に繰り返し伝える「上に登らなければ意味がない」という言葉、考えさせられる
- 東教授
- 財前に一撃を食らわせた時の、気づかれないレベルの「どや顔」の絶妙さ!
- 第一部では、彼もまた承認欲求の怪物やん・・
- 財前に「裁判に協力するのは君を思ってのことだ」とわざわざ言いに行って自分の行動を正当化してたけど、本性は?
- 政治工作に不慣れな様子が見てられない
- 裁判に証人として出廷した際、「私情で財前に対する不利な証言をしているのではないか」という相手弁護士の尋問にも「教え子の誤りは自分の誤り」と毅然として対応した姿、やはり誇りというか、本来の彼の在り方なのだろうと思った
- 又一
- 冒頭からギャグ?という面白さ。ヅラが笑
- すぐ金を渡しすぎ
- 里見
- 理想はそうなんだけどね・・と視聴者が思うほどに、真っ直ぐで愚直
- 「緩和ケア」強行する件、大丈夫?と心配だった
- 大学病院にいる以上、長い物に巻かれざるを得ないという状況が自身の考えと合ってない
- 佐枝子の、「どうして財前先生のためにそこまでできるのですか?」という問いに対し「医師を辞めるその日まで、ずっと一緒に歩いて行きたいと思っています」と答えたのが唯一の財前への好意を示す発言。ほんと寡黙
- もっと財前本人に伝えて!と求めてしまう
- 奥さん大変
- カッコ良すぎて、里見というか「江口洋介」としてついガン見してしまい気が散りがち
- 柳原
- 常に足元がおぼつかない感じ、リアル
- 自分がこの立場だったらどうする?と何回か考えたけど答え出ない
- 竹内
- 里見にモヤる様子が上手すぎる
- とはいえ、柳原を擁護したり責めたり何なんだ?立ち位置不明
- ケイコ
- 吾郎ちゃんがどうなるのか見たいわ〜と言いつつ、財前のいないところでは心配顔
- つい、止めてやれよと思ってしまった
- 止めても無駄と分かっていたのねきっと
- 鵜飼教授
- 憎らしい
- 目つきが憎らしすぎる(つまり、伊武雅刀さんの演技がすごすぎるってこと)
- 大河内教授
- 毅然とした空気感がすごい
- 信頼できる
- 「私も医学部に一石を投じるつもりだ」と言った時、ヒューヒュー!と思った
- 佐枝子
- 里見への思いは胸に秘めていなさい
- 本人に伝えるなよ、と強く思った
- 里見が「妻の友人だから」と告白を断った時の不満顔何?違和感
- 財前が亡くなった直後、空を見上げる里見に近づいてきて「綺麗な朝ですね」じゃないのよ。で今後の抱負を語るとは。今はそれどうでもいいよ!
- 佃と安西
- 一貫して、最高の腰巾着
まとめ:信念を貫く男の友情の物語
『白い巨塔』を、20年経った今でも見返す理由は、
この作品が単なる医療ドラマではなく
信念を貫く男の友情の物語だからです。
18話、裁判も佳境に入る中、財前のがんが発覚する直前、財前とケイコの会話より
ケイコ「人間の欲にはキリがないのね」
財前「それが一番純粋な物だからな」
説得力に、唸らされます。
財前の、上へ上へ、という欲。
里見の権力に屈しないという思い、というこれもまた欲。
でもどちらとも、「人を救いたい」という同じ強い思いからきているというのが苦しい。
何を捨てて何を得るか。
生き様ってものを考えさせられる!

シーンにより、財前派だったり里美派だったりする自分にドキッ
今ならNetflixで全話配信中ですよ。
過去に観たことある人も観たことない人も、ぜひ見て欲しい!
確実に、心に残る名作です。
ではまた。

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