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読了時間|5〜10分
こんにちは。
SPEEDと大体同い年、1983年生まれ亥年、エンタメ好き主婦です。
さて今回も、【読書代行(文学)】やっていきます。
ネタバレあり!
そんな人のために私が読書を代行し「読んだみたいに内容がわかる解説」を5〜10分程度で読める記事にしてお届けします。
また、「どんな本か」を知ることで、自分で読んでみたいと思ってもらえたら、それもそれで嬉しい。
第3回目はサン・デクジュペリ『星の王子様』でした。
【読書代行】『星の王子さま』サン=テグジュペリ 読んでみたいけど手がでない人へ あらすじ・感想【楽しめる読み方見つけた】
第4回目のお題はこちら。
『羅生門』芥川龍之介
何それ?初めて聞いた。って人はいないはず。
死人の髪を抜く婆様。盗人。追い剥ぎ。
このようなイメージをお持ちの方。
合ってます。
羅生門は、文庫本でおよそ10ページほどの超短編で、登場人物は主人公の男と老婆、2名のみ。
その少ない文字数で、ここまで鮮明に人間のエゴイズムを描き切ることができるとは、芥川恐るべし。
あなたもきっと、生きる時代も立場も違う主人公の男に、他人事とは思えない何かを感じるはず。
その理由をあらすじ・感想を踏まえてまとめました。
筆者についてはこちら。偏りある人間ですが、趣味趣向が合えば嬉しい限り♪
自己紹介
ざっくりあらすじ
舞台は、地震や飢饉が立て続けに起こり、荒れ果てた平安時代の京都。

主人公は、仕えていた主人にクビにされたばかりの下人(げにん※)。
※下人とは、身分の低い使用人のこと。
行くあてもなく、雨宿りのために羅生門という大きな門に辿り着いた下人は、お金も食べるものもなく、このままでは飢えてしまう危機的状況。
実はこの門は、盗人が棲みついたり死人を捨てる場所となってしまっており、誰も寄りつかない不気味な場所だった。
下人は、手段を選ばず盗みでもするしか生きる道はない、と考えていた。
が、行動に移す勇気も出ない。
そんな下人が門の上に登ってみると、そこにいたのは一人の老婆。
なんと、死人の髪の毛を抜くというおぞましい行為の真っ只中だった。
それを見た下人の心には、老婆に対する憎悪が一気に湧き上がる。
今の今まで盗人になるしかないと考えていたのに。
「許すべからざる悪」だと老婆をねじ倒し、刀を突きつけ怒り、老婆を詰問する下人。
しかし、老婆の言い訳を聞いた瞬間、下人の心はまた一変。
「それなら俺が同じことをしようと恨むまいな」
そう言って自分の行動を瞬時に正当化し、老婆の着物をはぎ取って蹴り倒す。
そして、洛中(らくちゅう※)の闇へと消えていきます。
※洛中とは、京都の町中のこと。
たった10ページの中で、人間のスタンスが何度も変わる様子に驚かされる話です。

引くほど変わり身が早い主人公に、「なんて奴だ!」と思いながらも、自分が極限状態で同じ立場だったら・・?
他人事とは思えない、人間のブラックな本質の切り抜きという感じの短編です。
著者について
『羅生門』の著者・芥川龍之介は、1927年(昭和2年)7月24日、睡眠薬を大量に飲んで、35歳という若さで自ら命を絶ちました。
芥川龍之介は、明治から大正にかけて活躍した作家です。
東京帝国大学(今の東大)の英文科を卒業している秀才で、西欧の文学にも詳しいため、その知識を取り入れた独特な作風で知られています。

作品は短編集が多く、『鼻』という短編で夏目漱石に絶賛され、有名になりました。
そんな芥川の自害の理由は、
- ぼんやりした不安
- 重度の神経衰弱や心身の疲労が重なったため
だと言われています。
本人のみぞ知ることではありますが、家族のみならず、色々な不運が重なり親戚の生活までも執筆で支えていたとか。

人間の苦悩やままならない感情、ダークな感情を題材にした作品が多いので、繊細で細やかな感性を持っていたのでしょう。
しかし「ぼんやりした不安」って、なんて見事な表現。
執筆された時代背景
『羅生門』の舞台は、災害や飢饉が続き、荒れ果てた平安時代の京都です。

一方、芥川龍之介が生きたのは明治25年(1892)から昭和2年(1927)。
明治から大正、昭和と時代が移り変わり、ちょうど日本が「古い価値観」と「新しい価値観」の間で揺れていた時代です。
西欧の文化や思想がどんどん日本に入ってきた頃で、芥川もその影響を強く受けました。
明治期に急速な西欧化が進み、大正に入ると個人の自由や恋愛を重んじる「大正デモクラシー」の空気が広がりました。

30年近く前、ただの文字として暗記した「大正デモクラシー」。
改めて、なるほどね。
40超えて初めて「大正デモクラシー」をしっかり受け止めました。
しかしまだ、家柄や家制度を重んじる古い価値観も根強く残っている状況。
そんな中、芥川は身分の違いにより想い人との結婚を諦める(芥川側の親族が猛反対)、という苦しい体験をします。
『羅生門』をはじめ、芥川作品で描かれる人間の本質が生々しいのは、芥川自身が人間のエゴを実体験しているからかもしれません。
さらに1914年からは第一次世界大戦が勃発し、世界規模の不安が広がった時代でもあります。
そんな不安定な時代に生きていた芥川の目には、現代の私たちには想像もつかない世界が映っていたのではないかと思います。
100年くらい前の明治〜大正〜昭和って、激動の時代でさぞ大変だっただろう。
日本の近代史について、そのように感じます。
が、今から100年後に、昭和〜平成〜令和を振り返る誰かもきっと、今の私と同じように過去を振り返るかも。
「100年前って、長引く不況と激動の時代で大変だっただろうな〜」みたいな感じで。
いつの時代も過去を思えばそうなるのかもですね。
そして一人一人もまた、今も昔も変わらず、幸も不幸もある中懸命に生きているってだけですよね。
100年後、今いるこの場所はもう無くて、家族も友達も、今生きている人間は誰一人この世界に存在しないんですね。
そう思うと切なくて涙が出そうなのは、歳のせいか?
真夜中のせいか。

結論:真夜中のせいでした。
一晩たって今は真っ昼間ですが、「今を楽しもう」と平気で思えます。
真夜中の魔物に喰われないように気をつけないと。
怖いわ〜


芥川賞について
芥川賞(正式名称:芥川龍之介賞)は、日本を代表する文学賞の一つです。
将来有望な新人・新進作家による純文学の中編・短編小説に贈られる賞です。
1935年、作家・芥川龍之介を記念して創設されました。

芥川賞は、作家の菊池寛(きくち かん)が創設しました(直木賞も同様)。
文藝春秋を設立した菊池寛は、若い作家を応援するために芥川賞を創設。
賞の名前は親友である作家・芥川龍之介に由来し、その功績を後世に伝えたいという思いが込められています。
- 『火花』又吉直樹(2015年)
- 売れない芸人が、天才で破天荒な先輩に憧れながら葛藤し、生きる道を探す話。
- 『コンビニ人間』村田沙也加(2016年)
- コンビニをこよなく愛す、コンビニバイト歴18年の女の自分にとっての幸せの話。
- 相当面白いのでおすすめ。
ギクリとする面白さがある
『羅生門』の面白いポイントは、思わずギクリとするような、誰しもが持つ人間のクセが描かれているところです。
それは、
自己正当化
という人間の思考のクセ。
私も、下人のようにこれを行なってしまうことがあります。

「生きる」という目的のため、悪事を働く理由をウロウロ探していた下人にとって、老婆はもってこいの「理由」だったわけですね。

通常なら、老婆の理屈をそのまま下人の理屈に当てはめるなんて、違和感がありますよね。
立場が違うのに。
でも下人の場合、その違和感たっぷりの正当化のスピードがマッハなので、本人すら気づいていないところが怖くて面白い。
芥川がすごすぎるのは、下人自身すら自覚できない「正当化のスピード感」を描けているところ。
どんな気の持ちようで、こんな物語を思いつくのか聞いてみたい。
勝手に下人のその後を想像
ラストの一文は、以下です。
下人の行方は、誰も知らない。
『羅生門』より
勝手な想像ですが、下人はその後めちゃくちゃ正義感が強い人間として、悪を憎みながら生きていったと思います。
老婆の着物を剥ぎ取ったことは、下人の中で無自覚に正当化されているので「仕方なかったこと」として処理されているはず。

人間なら誰でも持っている、「自己正当化のクセ」を極端な形で見せられて、ギクリ!
まとめ:人間のダークな心の動きがぎゅっと詰まった短編
『羅生門』は、たった10ページの中に、人間のダークな心の動きがぎゅっと詰まった短編でした。
- 主人はクビになった下人が、荒れ果てた羅生門で雨宿り
- 門の上で、死人の髪を抜く老婆を発見
- 下人の心に憎悪がわき上がるが
- 老婆の言い訳を聞いた瞬間、下人も同じように悪事に走る
- 人間は、状況しだいで簡単にひっくり返る
興味が湧いた人は、ぜひ読んでみてください。
もうお腹いっぱい!
と感じた人は、読書代行の目的を果たせたので嬉しいです。
ではまたね。

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