こんにちは。
1983年生まれの普通の主婦、桃子です。

今日は、図書館司書の資格を所有し、年間100冊ほど(活字本・漫画・絵本)を読む私が大人におすすめの絵本「ふたりはともだち」を紹介するよ。
- 著者:1933年生まれのアメリカの絵本作家アーノルド・ローベル
- 訳:詩人、小説家、児童文学作家、翻訳家などで活躍した三木卓
- 「がまくん」と「かえるくん」という2匹のカエルの友情を描いた物語
- 1987年に出版され、長く愛されているロングセラーの絵本で、小学校の国語の教科書にも採用されていることで有名
大人が絵本を読むということが、近年注目されています。
美しい絵やストーリーが、心を癒し、ストレス解消や自己理解につながるからです。
この記事を読んで「ふたりはともだち」が気になったら、ぜひ読んでみてください。
「ふたりはともだち」は一対一の友情物語が心にブッ刺さる絵本
「ふたりはともだち」は児童書として出版されていますが、大人にもおすすめです。
いやむしろ、私は大人にこそおすすめしたい。
なぜなら、がまくんとかえるくんの「一対一の友情物語」が、他者との関わりに気を遣いまくるオトナの心にブッ刺さるからです。
やることいっぱいのがまくんが「あしたするよ」と先延ばしにしたり
水着姿を笑われたがまくんが堂々としていたり
一度も手紙をもらったことがないと悲しむがまくんに、かえるくんが手紙を書いたり
私はこの本を読むと毎回、以下のようなことに気づきハッとします。
こういうことって、心に留めているつもりでも、日々と共に流れていってしまいませんか?
それを定期的に思い出させてくれる、「ふたりはともだち」はそんな絵本です。
ありきたりな友情物語ではなく、二人の友情が失敗や勘違いを通して描かれていて、ユーモア溢れるやり取りがクセになる、そんな絵本です。
疲れた時は、短時間で読める絵本が最適
「疲れた時に読む本」などで検索してみると、あまたの自己啓発本がおすすめされます。
「疲れに効く〇〇」「疲れが吹っ飛ぶ方法」(架空の本です)または、癒しのストーリーの小説。
でも疲れた時って、がっつり小説読む気になります?

ましてや「疲れに効く方法」的な本なんて、気力も低下している中、前向きに改善策を学ぶなんて、少なくとも私に取っては修行。
もちろん私と皆様は、育ってきた環境が違うから、好き嫌いは否めません。
夏がダメだったりセロリが好きだったり。
おっと、つい!
でもこの本は、世知辛い日常で冷えて固まった、かつて子供だった私たちオトナの心を、白湯のように内側から温めてくれます。
そしてある程度の文字数もあるので「文字を読みたい」人もそれなりに満足できると思いますよ。
大人が絵本を読む効果:ストレス解消・自己理解・右脳への刺激!

私は絵本を読むと、ささくれ立っていた心が落ち着き、優しい気持ちになれます。

心がささくれ立つって。日常でそんなことある?

気づいてないだけだよ。
誰しもきっと、ある。
なぜ心が落ち着くのか?
実は「絵本を読む」という行動には、以下のような効果があるからです。
- ストレス解消・リラックス効果
- 自己理解につながる
- 想像力・思考力の刺激
①ストレス解消・リラックス効果

絵本に描かれている絵は、色彩豊かな美しい絵から個性的な絵、モノクロ画など様々です。
そのような視覚的な刺激とシンプルなストーリーが、脳にゆるりと流れ込み、少しの没入感を与えてくれます。
没入感とは、心や意識が特定の体験や活動に全集中し、他の事柄を忘れてしまう状態。
この状態は「フロー」とも呼ばれ、スポーツやアート、仕事、ゲーム、読書など様々な場面で見られる。
没入している時は時間の感覚が薄れ、周囲の雑音や不安が消え、その瞬間に全力で投資している感覚が生まれる。

我を忘れ、時が経つのも忘れる、あれね!あれが没入感なのね。
何かに没入することはストレス発散になり、脳がリラックスできます。
②自己理解につながる

絵本の登場人物に無意識に共感したり、読んだ後に心が動くのを感じたりした時、それを見逃さず、向き合ってみてください。
思いもよらない悪役に共感したり。
ハッピーな絵本なのに、読んだあとなぜかモヤモヤしたり。
その理由を考えてみたとき、新たな自分を発見できるんです。
例えば
「あー、ハッピーだけの話は好みじゃないのね、私」
「本音では、悪い奴の方が共感できる」
「ここ悲しくなるのは、あの時を思い出すからだ」
などなど。
ただ「読む」のではなく、湧いた自分の感情と向き合ってみると、かなり面白い発見ができます。
知らない自分との出会いに乾杯。

自己理解は、生きるカギ!
自分は何に幸せを感じるのか知らないと、自分を幸せにできないもんね。
③想像力・思考力の刺激

絵本はたいてい子供に向けて書かれているので、ストーリー自体はわかりやすいものが多いですよね。
でもその反面文字数も少ないので、自己啓発本のように直接的な「教え」は語られず、登場人物の言葉や物語を通して、ミニマムな言葉でメッセージが描かれます。
そのため、想像力や思考力が掻き立てられ、日常は眠っている「右脳」を刺激!
右脳を使うと、一般的に創造力・記憶力・直感力・集中力などが向上するとされていますよね。
豊かな感受性や発想力は、暮らしや仕事をより豊かにするためにきっと役立つはずです。
「ふたりはともだち」が大人にもおすすめの理由3つ
「ふたりはともだち」が大人にもおすすめな理由を3つに絞りました。
出来事のみが綴られる、シンプルな描写が疲れた心に効く

「ふたりはともだち」では、がまくんやかえるくんの感情は語られていません。
起こった出来事が綴られるのみの、シンプルな描写なので心にスッと入ってきます。
料理でいうと、疲れた時のおにぎりのよう。
絵本の中には、絵や文章からこれでもかというほど著者の思いや教訓が押し寄せてきて、「もう十分」と胸焼けしてしまう作品もありますよね。
ある程度読み手に自由に受け取らせて欲しいところですが、著者に強いメッセージがある場合は教訓本のようになってしまいやすいのかもしれません。
でも「ふたりはともだち」は、何にも邪魔されることなく二人の様子が描かれているだけなので、読者はそのやり取りを自由に楽しみ、ありのままの自分の感想を抱くことができます。
4歳くらいから読み聞かせられて、大人にも効くコスパ最強絵本

「ふたりはともだち」は、一般的には小学校低学年(6〜8歳くらい)が適齢とされていますが、我が家では4歳くらいから読み聞かせていました。
お話のテーマとなる「恥ずかしい」気持ちや「一人になりたい」という気持ちなどは、他者との関わりが増える年齢までは理解することが難しいと思います。
でも、「かえる」という生き物は子供にとって身近であるためか、絵の魅力か、小さい頃からとにかくよくリクエストされて読み聞かせてきました。
9歳になる長女は、今でも漫画や小説の合間に時々読んでいる姿を見かけます。

おすすめなのは、どのお話が好きか、ということを親子で話すこと。
我が子についての意外な発見があったり、すごく楽しく嬉しい気持ちになれますよ。
そんな風に、おそらくこの本は我が家で一生読まれると思います。
コスパ、最強です。
プレゼントに最適(カバーデザイン洒落てる)

「ふたりはともだち」のカバーデザインは、シンプルで温かみのあるタッチが特徴で、ちょっとしたプレゼントに最適だと思います。
色使いが落ち着いていて美しく、おしゃれですし。
風や水や木々を感じられる優しく繊細なイラストが、どこか懐かしく上品な印象を与えるため、部屋に飾っておいても素敵ですよ。
ビジュアル面からプレゼントに最適だと思いますが、もちろん内容も最適です。
私がプレゼントに選ぶ絵本の条件は、以下。
「ふたりはともだち」は、全項目余裕でクリア!
親愛なる〇〇へ
疲れた時、一息つきたい時に読んでね。
そんな風にさりげなく貰ったら、私なら相当喜びますね。
かくいう私は自分で購入したので、あくまで想像ですが。
「ふたりはともだち」の中で特に好きな話はこの2つ
「ふたりはともだち」の中には、ユーモラスで温かい5つの友情物語が収録されています。
その中でも、私が特に好きな物語は以下の2つです。
なくしたボタン
「なくしたボタン」は、がまくんが自分のジャケットのボタンをなくしてしまい、かえるくんと一緒にボタンを探しに行くお話。
道中で色々なボタンが見つかりますが、どれもがまくんのジャケットのものではなく、イライラするがまくん。
でも結局、ジャケットのポケットにボタンが入っていたことが分かるのです。
失敗や勘違いを通して描かれる、がまくんとかえるくんの友情や、ほのぼのとした二人のやり取りが魅力。ボタンが見つかった後のがまくんの行動、私は「え?」と思いますが、かえるくんのようにがまくんの気持ちを丸ごと受け取れるようになりたいと思う。
すいえい
「すいえい」は、がまくんが自分の水着姿を見られるのが恥ずかしくて仕方がない、というお話。
がまくんとかえるくんは川へ泳ぎに行きますが、がまくんは「水着姿はとても変だから、誰にも見られたくない」と言います。
言えばいうほど、見たくなるかえるくんや動物たち。
最終的に、がまくんの姿を見て動物たちは大笑い。
かえるくんまで一緒になって笑います。
でもがまくんは感情を見せず「おかしいに決まってるじゃないか」と言い残し帰宅します。
友達同士、気持ちを偽らず素直に過ごしているところが素敵。恥ずかしいという気持ちに素直ながまくんや、がまくんを腫れ物扱いしないかえるくんや周りの仲間も良い。潔いがまくんも見習いたいところ。
がまくんとかえるくんシリーズ4冊紹介
「がまくんとかえるくん」シリーズの日本語版は、全4冊出版されています。
どの巻にも1冊に5つのお話が収められています。
ふたりはともだち
代表的な話である「はるがきた」「おてがみ」など、ユーモラスで心温まる友情物語を収録。
個人的には、「すいえい」の素直な二人に憧れがある。
ふたりはいっしょ
「よていひょう」「はやくめをだせ」「クッキー」「こわくないやい」「がまくんのゆめ」など、5つのエピソードを収録。ニューベリー賞受賞作!
アメリカで最も権威のある児童文学賞のひとつ。1922年にアメリカ図書館協会が創設し、世界で最も古い児童文学賞として知られる。
ふたりはいつも
春夏秋冬一年間のふたりの生活を描いた5編を収録。
「そりすべり」「アイスクリーム」「クリスマス・イブ」などを収録。
ふたりはきょうも
「たこあげ」「誕生日のお祝い」「おばけの話」などを収録。
日常のささやかな出来事を通して、ふたりの変わらぬ友情が描かれる。
まとめ:「ふたりはともだち」は、疲れた大人を癒し、救う絵本
「ふたりはともだち」や、その他がまくんとかえるくんシリーズの絵本は、心に疲れを感じている時、何となくモヤモヤする時に、ぜひ手に取って欲しい絵本です。
がまくんとかえるくんの、いたって真面目なのにどこか笑えるやり取りや、互いの違いを認めつつもありのままでいられる友情関係に、きっと癒され救われると思います。

教えを説いてこないところも、個人的にとてもおすすめできるポイント。
押し付けて来ないんですよね、温かさや優しさを。
あくまで、読者が勝手に感じ取るスタイルになっているので、心に優しいのかもしれません。
露骨な仲良しエピソードではなく、がまくんが恥ずかしがって見せたくない水着姿をかえるくんが笑ってしまったりと、おいおい、と思うような二人の言動が描かれているところも、これまた良いんです。
手元に置いておくと、大人も子供も時々手に取る、そんな一冊になりますよ。
ではまた。
コメント