【絵本】大人も楽しめる怖い絵本ランキング「かがみのなか」などネタバレあり 本当に子供向け?

怖い絵本 おすすめコンテンツ

こんにちは。

1983年生まれ普通の主婦、桃子です。

突然ですが、皆様は怖がりですか?

怖い絵本

私は怖がりです。

昔から恐怖にはめっぽう弱く、目を閉じると怖いものが頭に浮かんで眠れない、なんてことも頻繁にありました。

一方で、幽霊など目に見えないもの、黄泉の国や怪物などに一切恐怖を感じない人もいると思います。

そしてそのような人は、一般的に「怖い」とされるコンテンツのことをどう思うかというと

「つまらない」「興味がない」と感じるそう!

えぇー

つまり、怖いコンテンツが好きな人って「怖がり」が多いのです(自分調べ)。

だって私は、猛烈な恐怖を感じつつも怖い作品に惹かれますから。

「怖いけど、見たい」んです。

薄目で、指の間から、見てしまうんです。

この「怖いもの見たさ」って大人も子供もきっと同じですよね。

その証に、図書館に行けば怖い物語の多いこと多いこと!

書棚は、絵本から活字本まで、様々な恐怖話で溢れかえっています。

というわけで、子供の頃から怖がりで怖いもの好きの私が、今日は「怖い絵本」ランキングをやってみます。

全て実際に読んだことがある絵本なので、リアルな感想やネタバレがありますが、悪しからず。

皆様の選書の参考になれば嬉しいです。

桃子
桃子

私は司書資格を持ち、活字本から漫画、絵本、とにかく書籍を愛しています。

パッと思いつく好きな小説は

「悪女について」

好きな絵本は

「ふたりはともだち」

「生きる」

好きな漫画は

「昨日何食べた?」

「ハンチョウ」

「宇宙兄弟」

「ちびまる子ちゃん」など。

大人へのおすすめと同時に、この記事が子供に読み聞かせるかの判断基準になれば幸いです。

怖い絵本ランキング

第1位:かがみのなか(作:恩田陸・絵:樋口佳絵)

怖い本ランキング

のぞいたのか、のぞかれたのか。

  • 『かがみのなか』(岩崎書店)2014年7月31日出版「怪談えほん」シリーズの一冊
  • ホラーとしての怖さ:★★★★★
  • しつけや道徳を学ぶ「罰」に対しての怖さ:☆☆☆☆☆
  • 芸術性:★★★★★
  • 対象年齢(個人の見解):8歳くらい〜大人まで楽しめる
    • 小学校にある大きな鏡のことや、鏡の中の自分が違う動きをすることがどれだけ奇怪なことなのかを理解できている年齢でないと、怖さを感じないかも。
  • おすすめな人:日常に潜む恐怖を味わいたい人
あらすじ

主人公の少女は、毎日見ない日はない「かがみ」に特別な違和感を感じています。

ある日少女は、鏡の中の自分がいつもと違う動きをすることに気づきます。

そして、少女が鏡を背にした時、鏡の中からぬるりと出てきた青い手が、少女を鏡の中へ引きずり込みます。

無数のモンシロチョウが飛び交う鏡の中の世界では、たくさんの子どもたちがモンシロチョウと戯れ、中には口に入れている子も。

そんな世界に次第に魅せられていく少女。

最後に「ただいま」と帰ってきたのは、どちらの少女なのか。

鏡という身近な存在を、不安や恐怖の対象として取り上げたこの絵本は、日常の中に潜む得体の知れない恐怖が描かれています。

桃子
桃子

これは、トラウマになる子もいるはず!

鏡を見るのが怖くなってしまうかも。

それくらい、絵が怖い。

美しく、怖い絵です。

基本的に眉毛はないし、特に鏡の中の少女の表情が、ストーリー云々以前に子供にとってはかなり怖いのではないかと。

教育的側面は一切なく、シンプルに「恐怖」を楽しむ絵本。

ゾクリとしたい人にはとてもおすすめ。

恩田陸さんの小説のように、静かで短い言葉の中にひっそりと存在する不快さ、異質な雰囲気、読者に残す不安な余韻などが、文学的でとても良かったです。

大人の私でも、夜一人で鏡をじっと見るのは少し怖くなりました。

何か映りそうで。

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第2位:いるのいないの(作:京極夏彦・絵:町田尚子)

怖い絵本

みたのかい。じゃあいるんだね。

  • 『いるのいないの』(岩崎書店)2012年2月10日出版「怪談えほん」シリーズの一冊
  • ホラーとしての怖さ:★★★★★
  • しつけや道徳を学ぶ「罰」に対しての怖さ:☆☆☆☆☆
  • 芸術性:★★★★★
  • 対象年齢(個人の見解):5歳くらい〜大人まで楽しめる
    • ストーリー的にも絵も、低年齢でも怖さを感じることができる。でも、暗がりや気配を怖いと感じることができる年齢、ということで、5歳以上にしました。
  • おすすめな人:ゾクリとした恐怖を味わいたい人
    • 古い家屋特有の、長い時間が染み込んだ壁や柱の感じや、見えない誰かが今も住んでいるような気配を怖いと感じる人。
あらすじ

田舎にある、古い家で暮らすことになった男の子。

その家は、天井が非常に高く、梁の上には暗がりが人がっています。

男の子は、その暗がりに「何か」がいるような気がしてなりません。

ある日、天井の暗がりを見上げると、怒った男の顔が見え、驚いた男の子はおばあちゃんにそのことを話します。

すると、おばあちゃんは「見たのかい。じゃあいるんだね」「上を見なければ怖くないよ」「見なければいないのとおんなじさ」と答えます。

それでも男の子は、天井の暗がりが気になって仕方がありません。

そこに本当に「いる」のか?それとも「いない」のか?

読者は、主人公の視点を通じて古い家の暗がりへの曖昧な恐怖を体験することができます。

桃子
桃子

暗がりに見えない何かが「いる」のか「いない」のか、そんな不穏な恐怖を描いた作品。

個人的には、主人公の男の子がなぜたった一人で祖母の家で暮らすことになったのか、そこが明かされないところも、怖さを引き立てていると感じました。

祖母の家に到着した時、主人公は正気を失ったような暗ーい表情をしてるんです。

中表紙では、たった一人でリュックとボストンバックを抱え、祖母の家へ続く道をとぼとぼと歩く主人公が描かれています。

「夏休みの大冒険!」的な流れで祖母の家に来たわけではないのでしょう、おそらく。

その状況だけでもう怖!

それにしても、表紙、中表紙、1ページ目の絵、タイトルとたった2行の短い文章だけで、主人公の心情や状況を想像させるとは、京極夏彦さんと町田尚子さん、すごすぎる。

といった感じで冒頭から主人公の不安や孤独が感じられ、物語全体を包む不穏な空気に拍車をかけている!

あとこの絵本は、絵を隅々までジイっと見て味わってもらいたいです。

襖がちょっと開いてる

猫がめっちゃこっち睨んでるぅ

猫が常に監視してる

などなど、注意深く絵を見れば見るほど、細やかな描写により想像力が掻き立てられ、自分がまるでそこにいるかのように、作品に没入できますから。

あと、男の子が度々おばあちゃんに自分が見た男の顔について質問をしますが、その回答が「いる」前提なのも嫌〜泣

「気のせいでしょ」とかなら励まされるけど、「見なければいないのとおんなじさ」って!

いるってことやん。

そしてラストの衝撃的に怖い絵ですが、梁の上からこちらを覗く男の表情。

大人でも記憶に残る怖さです。

全然あたたかく見守ってくれない予感。

目的は、監視か呪いのどちらかですよこれは。

怪異や人間の闇といったテーマを取り入れた文学的ホラーを代表作とする、京極夏彦さんの世界が存分に楽しめます。

主人公の今後の暮らしが、思いっきり不安になるラストでした。

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第3位:悪い本(作:宮部みゆき・絵:吉田尚令)

怖い絵本

私は良い人のふりをしている?本当は・・

  • 『悪い本』(岩崎書店)2011年10月31日出版「怪談えほん」シリーズの第1作
  • ホラーとしての怖さ:★★☆☆☆
  • しつけや道徳を学ぶ系の怖さ:★★★★☆
  • 芸術性:★★★☆☆
  • 対象年齢(個人の見解):13歳くらい〜大人まで楽しめる
    • 9歳の娘の感想が「どういう意味?」だったから
    • 中学生くらいになって、誰しもに潜む「悪い自分」を自覚してからでないと意味不明かも
  • おすすめな人:正義感が強い大人や子供、育児中の大人
    • 「良い子でいなきゃ」「悪いことはダメ」と自分を律するタイプ
    • 「悪いことを考えてしまう」ことは誰にでもあり、不思議と心の奥に潜む「悪い自分」を肯定されている気分になる
あらすじ

物語は、「私は悪い本です」という語り口調で始まり、読者に向かって「この世でいちばん悪いことをおしえてあげる」と誘ってきます。

そんな本いらない、と思っても「でも、あなたはほしくなる。きっとほしくなる」と囁きかける。

この絵本は、具体的なストーリーよりも、「悪い本」自体との対話を通じて、読者の内面に潜む「悪意」や「負の感情」に焦点を当てています。

嫌いだ

いなくなればいい

死ねばいいのに

といった、人間誰しもが一度は抱く負の感情に対して、「悪い本」はそれを肯定し、受け入れる存在として描かれています。

この構成により、読者は自らの心の中の「悪」と向き合うことになります。

桃子
桃子

この絵本は、子供向けの体裁をとりつつ、大人の心に深く訴えているように思いました。

怖い、というより考えさせられる絵本です。

0〜3歳くらいの幼児のような「悪意のないまっさらな心」の大人はいないですよね。

他者との関わりが増えると、必ず「悪い自分」は生まれます。

それとどう付き合うか?

「悪い自分」をいないものとして、無視するか。

「悪い自分」を認めて、意識して過ごすか。

子供には、「意地悪はだめ!」「悪いことはだめ!」ではなく

意地悪をしたくなるような「悪い自分」は誰しもの心にいるよ、皆同じだよ、向き合おうよ、と教えたいと思いました。

絵も不気味で美しく、宮部みゆきさんの文章を不穏に引き立てています。

宮部みゆきさんの物語は、「人間を見る眼差しの深さ」が特徴的で、登場人物の背景にある「事情」や「痛み」を丁寧に描いた作品が多いです。

良い人、悪い人、と人間を二分することのない視点に、ハッとさせられるはず!

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その他のおすすめ絵本をまとめて紹介

あずきとぎ(作:京極夏彦・絵:町田尚子)

おすすめポイント
  • 対象年齢(個人の見解):9歳〜大人向け
    • 直接的な怖い絵は一切無いので、幼児にはこの「怖さ」は伝わらない可能性あり
  • 「あずきとごうか ひととってくおうか・・」という不気味な言葉が繰り返され、リズム的に読み聞かせに最適かつ怖い。
  • 「あずきとぎ」「あずきあらい」は日本の各地に伝わる妖怪であるため、日本の妖怪文化へ興味を持つのに最適。
  • 「いるのいないの」と同様、町田尚子さんの絵が、忍び寄る何かの気配を構図と色彩で美しく表現されていて、じっと見惚れてしまう
  • あえて妖怪の姿を「見せない」ことで想像力をかき立てている。
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絶望的な絵本ばかり!エドワード・ゴーリーの衝撃絵本3選

「怖い絵本」のランキングには入れないけど、おすすめの異色な作家の絵本を3冊紹介します。

エドワード・ゴーリーは、アメリカの作家・イラストレーターであり、ブラックユーモアやゴシック的世界観で知られる絵本作家です。

ゴーリーは、「死や不条理を、静かに美しく、少し笑いながら見つめる」そんな唯一無二の絵本作家・芸術家です。

ゴシック的世界観とは、不気味で、幻想的で、どこか陰鬱な雰囲気を持つ独特の美学を示し、彼の作品は死・不条理・孤独・皮肉・ユーモアといったテーマを繊細なモノクロの線画と簡潔な言葉で描き出し、大人のための絵本の先駆者とも言われているそう。

1925年、アメリカ・シカゴに生まれ、ハーバード大学で文学を学び、幼い頃から本に没頭していた彼は、私生活の多くを語らなかったため、作品を通してだけ自己表現をしたとされています。

桃子
桃子

個人の感想としては、救いの無い物語に衝撃!

でも翻訳をされている柴田元幸さんの「あとがき」を読むことにより救われ、自分の中でのゴーリーの物語の「置き場所」が決まるような感覚でした。

あとがきが無かったら、どうなっていたことか・・

可愛らしさ、あたたかさ、わかりやすさとは真逆の魅力を持つゴーリーの絵本ですが、不思議なことに、また読みたいと思ってしまう自分がいます・・

ちなみに、対象年齢は全作品大人向け!完全にR18です。

ゴーリー自身も「子供に向けて書いていない」と明言しているそうです。

おぞましい二人
見どころ
  • 実話をもとにした、子供を誘拐して殺してしまう殺人夫婦の一生が淡々と描かれていて一味違う絵本体験ができる
  • 一切の教訓も救いもない
  • 世の中の不条理な事柄を突きつけられて、苦しくなる
  • 中田敦彦さんもYouTubeで「世界一残酷な絵本作家」と紹介するほど
  • のうのうと生きていたくない大人におすすめ
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ギャシュリークラムのちびっ子たち
見どころ
  • A~Zまでを名前の頭文字に持つ26人の子どもたちが「どう死んだか」で構成されるブラックすぎる絵本。
  • 子どもの無垢さと死の理不尽さが並ぶ構図が、心をざわつかせる。
  • 「なぜこの子たちはこんな死に方を?」と考えることに意味はなく、人生の不条理や偶然性を、淡々と描いているだけ。
  • アルファベット学習や道徳教育とは真逆。
  • むしろ「型にはまった教育とは何か?」を問い返すような、大人向けの風刺絵本
不幸な子供
おすすめポイント
  • ある裕福な少女への、容赦ない悲劇の連鎖が描かれている。
  • 父が戦死し、母は精神を病み、不幸が次々に彼女を襲います。
  • ラストは衝撃。あなたもマンガの「・・・・。」←この状態にきっとなると思います。
  • どこにも希望はなく、表紙の時点で女の子は悪魔に目をつけられている予感。
  • 古風な建物や家具、衣装のディテールも凝っており、19世紀ヨーロッパ風の退廃的な美が漂っている絵が魅力的。
  • 展開としては「フランダースの犬」とほぼ同じだが、ラストに一切の救いが無くて絶望する
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「恐怖」はなぜ人を惹きつける?

恐怖が人を惹きつけるのは、「生きたい」という本能と「知らないものに近づいてみたい」という好奇心の、相反する感情が同時に働くからだそうです。

つまり

「怖いのに見たい」「怖いのに知りたい」その矛盾が快感になるのです

怖いコンテンツが人気の理由

危険を「安全に」体験できるから

ホラー映画や怪談は、実際に命の危険に晒されることなく、極限のスリルを追体験することができます。

桃子
桃子

「心拍数が上がるほどの恐怖」と、「怖いけど現実じゃない」という緊張と開放の波が中毒性を生むんだって。

未知や死への好奇心

幽霊、怪物、呪い、狂気などのホラーが描くのは、人間が日常生活ではフタをしている闇であり、タブーとされています。

それら禁じられたものを覗き見るスリルが、人間の好奇心を刺激するのです。

人間の「恐怖センサー」が発達しているから

人間は進化の過程で、「恐怖を感じる力=生き延びる力」を発達させてきたはず。

だからこそ、脳は恐怖にとても敏感で、反応しやすいのではないかと思います。

桃子
桃子

確かに。怖い経験や危険な体験は、記憶に強烈に刻まれるよね。

ストレス発散になるから

叫んだり興奮したりして終わったらホッとする体験に没入

怖い話で心拍数が上昇し、時には叫んだり。

その間、脳は完全に別の世界のことを考えていますよね。

私は映画を観ている時や読書にのめり込んでいる間、日常のことは忘れています。

一旦日常から思考を切り離すことで、脳がリセットされ爽快感を感じます。

安心できる「怖さ」

小説や映画(特にエンタメ作品)については、現実ではないことを知っているから、逆に安心して恐怖を楽しめるところがあると思います。

あくまで個人的な意見ですが、社会派の作品や、実話を元にした作品だとストレス発散にはならないですね。

まとめ:「怖い絵本」で恐怖に没入してみよう

怖い絵本

私は、「死」や「恐怖」「不条理」と向き合うことで、逆に「生きている感覚」が強く感じられるように思います。

桃子
桃子

だからこそ、私たちは怖い話に惹かれ、あえて心を揺さぶられに行くのかもね。

映画や小説など、数あるコンテンツの中でも絵本は手軽に読めて、アートと文章を楽しめます。

ぜひ、名だたる小説家が恐怖を与えるために選び抜いた言葉たちを楽しみ、「怖い絵本」で恐怖に没入してみてはいかがでしょう。

きっとストレス発散できるはず。

ではまた!

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